STEM教育と非認知能力・コンストラクショニズム

こんにちは! 

EYSの中澤です。 

システムサポート課で音楽教室を運営するシステムの課題対応、機能追加を行っています。 また、プログラミング教室のカリキュラムを考えています。 

今回は、近年の教育方法として世界で取り入れられてきているSTEM教育とそれに関連する用語についてまとめました。 

非認知能力とは 

IQという言葉はほとんどの人が聞いたことがあると思いますが、IQのように数値で測れない人の内面の能力のことを非認知能力といいます。 

この非認知能力の重要性を40年に渡り研究し、2000年にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマン差の研究プロジェクト「ペリー・プレスクール・プロジェクト」というものがあります。 

経済的に余裕がなく幼児教育を受けることができない貧困世帯の3~4歳の子どもたち123名(統計的有意性は確認されています)を対象とし、58名の子供は2年間、平日午前2.5時間の少人数(先生1人あたりり5.7人)プレスクールに通い、週一回1.5時間教師が家庭訪問を行い、毎月親に対してグループミーティングを行いました。65名の子供はなにもせずそのままです。そして、3~11歳, 14, 15, 19, 27, 40歳時点での生活状況を比較調査しました。(現在も継続調査中のようです) 

ちなみに、この調査は2019年10月からの日本の幼児教育無償化の際の参考資料としても取り上げられています。 http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/youji/dai1/siryou3-2.pdf

内閣官房人生100年時代構想推進室:幼児教育、高等教育の無償化・負担軽減 参考資料より  https://www.kantei.go.jp/jp/singi/jinsei100nen/dai2/siryou1.pdf

調査した結果、幼児期の1ドルの投資に対して9ドルのリターンを生んでいるようです。 

幼児教育でIQが上がったからではないかと思われるかもしれませんが、調査によるとIQの差は10歳になるとほとんど無くなるようです。 

これらのことから、IQ以外の能力が生活していく上で重要であることが言えると思います。 

非認知能力は捉えにくいものですが、主なものを上げると以下になります。 

・意欲・関心 

・協調性 

・忍耐力 

・計画性 

これらを育む教育が現在求められていて、世界的な教育の流れになってきていると考えます。 

コンストラクショニズムとは 

 コンストラクショニズムという言葉は、プログラミング言語Logo考案者でもあるシーモア・パパート教授(MIT)が提唱した、「人が何かを行動する、特に、何かをつくる過程において、周りの環境にある材料を使って、さまざまな概念や知識を自ら学び取るといった、主体的・積極的な学習観」のことです。それをLogoを使うと実践できるということです。 

 Logoは、タートルグラフィックという亀が動いた軌跡で図形を描くしくみを持っています。その仕組を使うことで、次のように学習が進みます。 

  • 画面に絵を描きたいという「動機付け」からはじまります。 
  • 知っている・調べた方法を駆使してプログラミングし絵を描く「外化」が行われます。 
  • うまくいかない場合は理由を考え試行錯誤して修正していく「デバッグ」が行なわれます。 
  • 思っていた結果になることで、「知識構造の変化」が起きます。 
  • 最終的に最後完成することによって「学習」が行なわれます。 

 つまり、手を動かしながら考え、何かが出来上がることを体験しながら理解していくことで、創造的なエネルギーや思考が引き出されるという考えです。 

 これは、時代の変化が激しい現在において、事前に詳細な設計をするより、プロトタイプをどんどん作っていくという流れに合う考えだと感じます。 

STEM教育が担う役割 

 従来型の教育では、正解のある問題に対して、教科書に載っている通りの解き方で答えられるように訓練したり、内容を暗記して答えられるようにすることが中心です。限られた時間の中で多くの知識を詰め込むにはある意味こうなってしまうものかもしれません。 

 しかし、この教育ばかりだと自分の考えなどは邪魔なものとして、表に出すことを抑制されてしまいます。その結果、自分で考えず、マニュアルを求める、そして自分が何をしたいか分からないという思考に陥ってしまうでしょう。 

 STEM教育は一言でいうと教育のなかに自由を取り戻すことです。自由というのは正解に縛られない自分の考えを持ち、自分なりの答えを出す訓練といえます。 

 自発的な学習が身につけば、無理に知識を詰めこなくても自分から分野を限らず学習していくことが期待できるので、従来の教育の問題を解決するという点でも有用と言えそうです。 

 近年インターネット等で、基本的な学習なら、時間、場所、コストに縛られずできる環境が整っています。それなら、STEM的に横断して、興味のある分野を自発的に学習していく形が時代にあった学習方法なのかもしれません。 

 EYSでは学校の教育で現状ではまだまだ不足しているSTEM教育を中心にしたプログラミング教室を企画しています。興味のある方、一緒に作っていきたいという方はぜひご連絡ください! 

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中澤 健一
 大学に入りプログラミングに没頭、MS-DOSというOSの存在を知るところから始めてC言語の標準ライブラリを自前実装しながら言語を学習。  インターネットはまだアナログ回線が主流だった頃、大学の研究室の専用線を使ってFreeBSDのサーバを立てC++Builderに関するホームページを公開してニューラルネットワークや遺伝的アルゴリズムのプログラムを公開していた。  JavaのServletが使われだした頃、オンラインでコンパイル実行できるプログラミング学習サイトを作ったことをきっかけにプログラミング教育に興味を持つ。  その後SI系の仕事を10年ほどしていたが、本当にやりたいことを中心に仕事をしたいと一念発起し、単身で兵庫から上京して現在に至る。

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